今は、スマートフォンがあれば辞書なんかなくても困らないですよね。保護者の方には、できれば紙の辞書を古本屋さんでもかまわないので用意してください。と話します。

そうすると、電子辞書は買おうと思っているのですが…と言われることもよくあります。私立の学校だと入学の時に購入リストに入っていたりします。確かに、学校に持っていくことを考えれば紙の辞書は、1冊でもかなりかさばるうえに重いです。電子辞書ならば、国語辞典、漢字辞典、英和辞典、和英辞典、古語辞典など、およそ5~6冊分が、1冊分より小さく軽いのですから、どうせ買うなら電子辞書のほうが良いでしょ。と思うのは当然ですよね。もちろん電子辞書があっても良いと思います。

それでもあえて、小中学生には紙の漢字辞典を買ってください。とお話します。

紙の辞書を引く3つのメリット

  • 手を動かして体で覚える
  • 漢字辞典・漢和辞典は3つの索引方法で調べられる
  • 調べたい言葉の意味だけではなく前後の言葉や例文が目に入る

漢字練習をする時には、正確な書き順を意識して練習すると、考えなくても書けるようになります。書き順まで覚えるなんて大変!と思われるでしょうか?実は、正しい書き順で練習をすることには意味があります。いつも同じ順序で書くことで頭で考えずに体で覚えることができます。漢字を忘れたときに、いくら考えても思い出せないときに、確かにんべんだったよなぁ…と紙に書いてみると思いだして書くことができた!という経験はないでしょうか。そして読むだけで覚えようとするよりも、紙のページをめくったりする動作が付くことで能動的になって記憶しやすくなります。

3つの索引方法とは、「音訓索引」「部首索引」「総画索引」のことです。音訓索引は読み方はわかるけど漢字の形がよくわからない。というときに利用します。部首索引は漢字の部首がわかるとき、総画索引は画数はわかるけど、読み方や意味がよくわからないときに利用します。辞書を利用するだけで、部首名を覚えたり、画数を覚えたり、反対語や例文、類義語と、さまざま勉強ができてしまいます。新たに覚える漢字のすべてを辞典で調べていたら時間がかかってしまって大変ですが、私の授業で辞書を使うときは、ある程度覚えているけど、意味がわからない語句がでてきたときや、あいまいなときに、「では辞書で確認してみよう」と使っていました。学校によっては、朝学習などの時に国語辞典を適当に開いたページで見つけた語句の意味を確認する。語句を見て意味を読んで確認したら付箋をはる。ということをゲームのように行う学習方法を取り入れているようです。毎日やっているとどんどん付箋が増えて勉強がすすんでいるように見えて楽しくなってきて自分でも暇なときにやってみる。という生徒もいるようです。

電子辞書ならば知りたい単語を入れて知りたい単語の意味をすぐに見ることができます。紙の辞書だと、どうしても少々手間がかかるかもしれません。けれど、似たような言葉を一緒に確認することができます。英語の場合も類義語や例文がたくさんでてきます。調べたい単語以外はそんなにじっくり見ないかもしれませんが、意外な発見があるかもしれません。ちょっと気になって前後をついでに見たりするかもしれません。

紙の辞書は手間と無駄があります。合理的ではありません。けれど、手を動かしてわざわざ調べる学習は手間と無駄の分記憶に残りやすく、かたまりの知識を増やすことができます。結果的には合理的な学習方法なのでは、と感じています。