現在、夏休みに向けて読書感想文の指導の準備をしています。本の選び方から迷う人も多いと思うので、参考としておすすめの本を紹介します。

推薦図書というのは学校でもあると思います。また読書習慣がなく活字を読むことに慣れていない人は、できるだけ読みやすくておもしろい本を読むのも良いでしょう。せっかくの長い休みなので、少しがんばってちょっとだけ古くて名作として今でも読まれている本にチャレンジしてみてほしいな、とも思います。

今回は「私の好み」というとても偏った選書ですが、ご参考までに。

梨木果歩 「西の魔女が死んだ」

この作品は映画化もされているので、まずは映画を観てから読むのも良いでしょう。私としては、映像化されたものを先に観てしまうのは自分の頭の中で想像する楽しみが減ってしまうと思いますが、読書そのものに抵抗感がある人は、ある程度ストーリーを知っておいて、改めて活字を読むほうが読みやすいかなと思います。そこは少しでも楽してまずはハードルを下げることが重要だと思っています。「西の魔女」とは学校へ通えなくなってしまった主人公の祖母です。

「家守奇譚」「村田エフェンディ滞土録」

同じく梨木果歩の作品です。時代背景は明治~大正時代くらいでしょうか。現実とあの世的世界が滲んでいるような世界です。この二つは全く違う話のようですが、登場人物がちらっと重なったりします。

村上春樹 「海辺のカフカ」

こちらは、四国が舞台になっているのと、中学生くらいの年代の人が父や母からの精神的呪縛から逃れる話でもあると思うので、共感しやすいのではないかと思います。中学生には少し過激な表現もあるかもしれません。「エディプスコンプレックスとは」をそのまま小説にしたような内容です。

小川洋子 「博士の愛した数式」

事故にあい、80分しか新しい記憶を維持できない博士と、家政婦とその息子との交流のお話です。私は数学が苦手でしたが、数式を美しいと感じることができるようになったら楽しそうだな。と思いました。小学生中学生のうちに読んでほしい本です。

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」「どんぐりとやまねこ」

小学生が読む本のイメージがありますが、「銀河鉄道の夜」は難しいと思います。私はかなりの本好きでしたが、小学生の頃にはよくわかりませんでした。解説が必要だと思います。ただ、宮沢賢治を大人になって子どもに読み聞かせていて、日本語の美しさに打たれました。易しい物語も難しい話も、とにかく美しい文章というものを体験するために読んでほしい作家です。

井伏鱒二「ジョン万次郎漂流記」

井伏鱒二の小説は短いものも多く、どれも面白いので古典に近いけど読めます。「ジョン万次郎漂流記」は土佐の漁師の息子が難破してアメリカの船に助けられて、船長に気に入られアメリカで教育を受け、日本に戻り、英語力を買われ士分として取り立てられ通訳や教師、その他にもさまざまな活躍をした人物です。(ずいぶんざっくりはしょりすぎ!)高知の人にはぜひ一度は読んでおいてほしいです。

井上靖「おろしや国酔夢譚」

漂流して数奇な人生を送った人物の物語と言えばこちらも負けていません。大黒屋光太夫は16人の仲間とともにロシアの端っこに漂着し、そこからシベリア大陸を横断してエカテリーナ女王とも対面し、日本語教師として滞在させられます。10年後に江戸に戻ります。壮絶な物語ですが、実際に存在した人物の話です。

以上、偏ってはいますが、感想を言葉にしやすいのではないかと思う作品を選んでいます。

読書感想文の書き方についても次回記事にしたいと思います。